世話になったおじさんの葬式は、真言宗のちょっと不思議な葬式でした。

私は大学時代、地元を離れて高知で水産物の勉強をしていたのですが、その時下宿で大変親切にしていただいた管理人のおじさんが亡くなったという連絡が先日入り、会社を休んで日帰りで久々に高知を訪れました。

おじさんの実家は高知の山奥で、宗派は真言宗でした。私の身内は大体浄土真宗大谷派で、まぁ仏教なんだから真言宗でも大体同じようなもんだろうと思っていたら大間違いでした。
まずお経が全然違います。真言密教といえば漫画などでよく題材にされていますが、「オンアボギャベイロシャノウ…」とか「ナウマクサンマンタ…」漫画でお馴染みの呪文を本当に唱えているので、実際に使用されているんだ…とちょっと驚いてしまいました。

また式が全体的に不思議な、呪術的な感じがしました。例えば供養まんじゅうを、住職さんが7つに割って、体の形に並べて参列者に差し出すのですが、住職さんが言うには「7という数字は宇宙万物を構成する数、周期で、人体にも当てはまる。仏教の四十九日と言うのは7日という完成された周期が7回、魂があの世に帰るまでの期間なのです」とのことでした。
真言密教は7を大変需要視する宗派で、自分の寺では七夕は北斗七星が月の光で遮られない旧暦の7月7日に行っています」と、7に関する不思議な話を他にもしてくれました。

葬式の住職さんの話はありきたりでいつも早く終わらないかな…と思っていましたが、この時のお話はけっこう興味深くて聞き入ってしまいました。おじさんと縁がなければこんな敬虔もなかっただろうし、深く感謝しておじさんを送りました。ただ、田舎の葬式は本当に長かったです。

自分が葬式会社の簡略化された葬式に慣れてしまったせいもあるでしょうが、田舎の年配の方は文句も言わずに長々と正座して忍耐強いな…と思いました。